坂井 眞樹
社外取締役(監査等委員)
長年にわたる農林水産省の行政官としての経験から、農林水産行政や国際業務に関する豊富で幅広い知識を有する。
当社では松本社長の強力なリーダーシップのもと、積極的な事業改革に取り組んでいます。有機・光デバイス材料事業部を発足し、順調に成長を遂げてきた有機EL事業に加えて、エネルギー問題解決の切り札となり得るペロブスカイト型太陽電池用材料の開発に注力する体制を整えました。韓国子会社のSFCとREXCELを合併し、有機EL材料の一貫生産を実現するとともに、次世代医薬品である核酸医薬分野への参入を図っています。また、5年連続の増配によって株主還元を強化し、この先の100年も成長を続け投資家に愛される企業を目指しています。
こうした戦略のベースとなるのが、積極的な人材育成とSPEED 25/30の最初のEであるエンゲージメントの向上による、全員が働きがいを実感できる職場の実現です。各国に子会社や拠点を持つ当社には、文化の違いを超えて信頼関係を構築しビジネスを進めることができるグローバル人材が必要です。オープンイノベーションを進めるために、関係企業と積極的な事業連携を図ることができる専門人材も必要です。また、製造企業としての生命線である工場の従業員が安全でやりがいをもって働ける環境が不可欠です。経理や内部統制等の分野においても、AIの活用等によって改革を進めることのできる人材が求められています。当社は、100年企業としてチームワークが良く安定した職場作りに努力してきました。労働組合との関係も良好です。しかし、これからの職場は、新卒採用の人、他社から来た人、いわゆるアルムナイ採用の人、また勤務期間についても、定年まで勤める人、一区切りがついたら他社へ移る人など、いろいろな面で多様な人材で構成されていきます。外国人材もさらに増えていくでしょう。
多様性が増した職場の創造力を高めていくため、会社は従業員に寄り添い、いかに望むキャリアを実現していくかともに考えることが求められています。地道な取り組みが大きな成果につながると信じ、今後も取締役会や指名・報酬委員会において、活発な議論を行っていきたいと思います。
藤野 しのぶ
社外取締役(監査等委員)
事業会社での長年にわたる業務経験に加え、キャリアカウンセラー、社外取締役としての人材育成、組織開発、ダイバーシティ推進等の豊富な知識・経験を有する。
取締役会の議題は多岐に渡りますが、事業活動で得た収益の配分を決定するのもその一つです。先が見通しにくい不確実な事業環境の中でも、株主の皆さまへの配当を着実に増やしていけるよう、継続して取り組んできました。また従業員へのJ-ESOPの対象者拡大、従業員の給与水準のアップを後押しする議論もなされてきました。直近では韓国での投資に続き、国内での設備投資に対しても積極的で、筑波研究所の機能強化等、機能性色素セグメントを中心とした投資も行っています。株主や従業員への還元、投資活動に積極的に取り組む姿勢が強まっていることを感じています。
「SPEED 25/30」の進捗も取締役会の報告案件ですが、ダイバーシティ推進として女性管理職の割合の目標値が掲げられています。管理職の数値目標も大事ですが、それ以前に、女性を含めた一人一人の従業員が仕事の経験を通じて自信を深め、新たな仕事にチャレンジできる会社になる必要があると思っています。仕事での成功や失敗を経験するしか、仕事への自信は生まれません。年齢や国籍、性別といった属性にかかわらず、一人ひとりが新たな仕事に取り組める環境をどう作るかが今後の課題です。
社員から社内外通報窓口へ寄せられた相談についての報告もあります。公益通報制度の機能不全がニュースになる昨今ですが、当社では、通報者の不利益にならないように、寄せられた相談をより組織の健全化に資するようにという議論がされています。この姿勢をぶれずにぜひ続けたいと思っています。
「SPEED 25/30」も次のフェーズを迎えます。当社の製品群は幅広く、取締役会では単に売り上げ数値を追うだけでなく、世界情勢や経済動向の変化を踏まえ、製品群ごとのさらに具体的な情報を共有して今後の事業の方向性を共に議論できるように、執行側と会話しているところです。
松永 明
社外取締役(監査等委員)
通商産業省(現経済産業省)の行政官として、国内、海外での幅広い知識・経験を有する。
今、我が国の企業は厳しい環境変化に直面しています。技術的には、カーボンニュートラルやDXへの対応が必要になる一方、通商貿易については、地政学的なリスクの高まりや、保護主義的な動きなど、先の見通せない状況になっています。さらにはサイバーセキュリティ、経済安全保障など、これまでにない脅威への対処にも迫られています。私はこれまで経済産業行政に携わる中で、企業を取り巻く大きな環境の変化を分析し、どのような政策が必要かを考え続けてきました。この経験を活かし、個々のリスクではなく、大きな潮流の変化について、社内での議論とは異なる見方や切り口を提供できないかと考えています。当社は100年企業として、これまでもさまざまな経済の荒波を乗り越えてきました。その経験を活かして、さらに100年、200年と持続的に成長していけるよう、取締役会の議論を通じて、貢献してまいりたいと考えています。
当社の製品は、携帯電話、コピー機、文房具、除草剤、衣料、日用品など、さまざまな身近な製品に「不可欠なもの」として使われていることを知りました。また、当社には100年企業として、祖業を大切にしつつも新たな分野を次々と開拓し、幾度となく訪れる危機を乗り越え、着実に成長してきた歴史があることも学びました。上述したように、今、我が国の企業を取り巻く環境は、100年に一度といわれる大変革期だと考えています。その大変革に対応していくためには、これまでの事業を再興していくとともに、新たな「不可欠なもの」(収益の柱)を作り上げねばなりません。そして、その目標に向けて社員一丸となって取り組む力、これが当社の強みではないかと思います。私もそのための環境整備に貢献していきたいと考えています。