皆様
サステナビリティ関連のページにアクセスしていただき、ありがとうございます。
保土谷化学グループのサステナビリティ経営に対する考え方、姿勢について述べさせていただきます。
当社は化学メーカーとして、VISIONの中に「環境に優しいモノづくり」を掲げています。我々は成長性や利益率だけでなくサステナビリティも追求し、持続可能社会に貢献する企業でありたいと考えているからです。
2023年度には、製品構成の変化を受けて、エネルギー原単位と二酸化炭素排出原単位(売上高原単位)が2025年度の経営目標を前倒しで達成しました。2024年度のFTSE Russellではスコア3.5を獲得、EcoVadisではシルバーメダルを4年連続で維持、CDP(Carbon Disclosure Project)では気候変動、水セキュリティともにBランクを獲得し、「統合報告書2023」は、第3回日経統合報告書アワードにて「優秀賞」を受賞するなど、外部からの評価も向上しています。
環境対応においては、現実的かつ着実な方法での削減努力を重ねています。製造プロセスの効率化や環境負荷の低減に向けた技術革新を進め、社会課題の解決に貢献することを使命としています。こうした一つひとつの取り組みが、最終的には企業としての信頼と持続可能な社会の実現につながると信じています。また、化学メーカーとして安全操業は第一の使命です。
2024年度には全事業所で休業災害ゼロを達成しました。引き続きレスポンシブル・ケア活動を一層充実させ、無事故・無災害・安全操業に取り組んでまいります。
事業を拡大するためには、これまで以上にイノベーションを支える人材が重要になります。
優秀でやる気のある人材の確保のため、エンゲージメントの構成要素の中でも「心理的安全性」「ビジョンへの共感」「成長の機会」「評価と報酬」の4つのバランスを重視し、取り組みを進めています。
外部からの人材の採用も重要です。優秀な学生を採用するために初任給の引き上げはもちろんのこと、奨学金返済に関する支援制度も検討していきます。キャリア採用に加えて、一度当社を離れた社員の再採用(アルムナイ採用)などはすでに実績があります。
また、働きやすい就労環境の整備や女性の管理職比率向上、積極的な若手の登用も進め、仕事にやりがいを感じてもらえるよう努めます。
従来の年功序列的な運用から脱却し、キャリア採用の場合は、当社グループの給与体系から切り離して年俸制で雇用するなど、柔軟な対応を行います。さらに、「職能給」から「ハイブリッドのジョブ型」、つまりジョブ型としてポスト給をプラスする報酬体系を検討しています。管理職に対してポスト給を設定し、役割や責任に応じた処遇を明確化するとともに、部下を持たないスペシャリストについては、専門性の度合いに応じた処遇が可能となるよう設計しています。
加えて、従業員に対する株式報酬制度(J-ESOP)の対象者を、全従業員に拡大することも予定しています。これにより従業員に株主としての意識を持ってもらい、社内が一丸となって業績や企業価値の向上を目指していけると考えます。
一方、経営層には360度評価を導入し、定性評価を行っています。その結果を活用して適所適材に人材を配置することで、円滑で実効性の高い経営を実現しています。
これら全ての取り組みを通じて、役職員一人ひとりがやりがいを持ち、保土谷化学を次のステージへと導く原動力となることを目指します。
海外の子会社、特に韓国では、お国柄もあるとは思いますが、迅速な意思決定を求められることが多いです。また、韓国では配当よりも研究開発への投資を優先し、企業が成長することで株主をはじめとするステークホルダーへの還元を行うという考え方が強いようです。保土谷化学グループでは、韓国の子会社には、資本構成に基づくガバナンスだけでなく、理事~課長クラスの人材を派遣し、常駐させ実務も担わせています。彼らは、子会社の経営者層からの信頼も厚く、密接なコミュニケーションを通じて事業の進め方や方向性の確認を行い、当社の経営層とのパイプ役を果たしています。
世界的にガバナンスの重要度が増し、企業に対する外部の目も厳しくなっていますが、ガバナンスの名のもとに子会社の独自性をつぶさないようにしつつ、守るべきガバナンスの実効性を担保し、グループ全体の企業価値向上を目指しています。これが当社の隠れた優位性になっていると考えています。
長期的に当社グループが本当に取り組まなければいけない課題は、グリーントランスフォーメーション(GX)だと考えています。
GXを推進するための技術開発として、バッテリー用材料の開発・製造に加え、ペロブスカイト型太陽電池※の研究に取り組んでいます。ペロブスカイト型は、シリコンの代替として有機化合物を太陽電池に利用するものであり、日本政府も力を入れて研究を推進している分野です。高耐久で、高効率の材料を提供することで、早期の実用化に貢献したいと考えています。
さらにGX推進には、デジタル技術の活用によりイノベーションを推進することで競争力が確保されると考えられ、「SPEED 25/30」の重要課題の一つであるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にも一層注力してまいります。
※ペロブスカイト型太陽電池:光を電気に変換する結晶構造を持つ、ペロブスカイトを素材とする太陽電池。塗布や印刷技術で量産できることから、低コスト化が期待される。
私は経営を、登山ではなく「永遠に続く上り坂」に例えています。登山には頂上という到達点がありますが、経営にはゴールはなく、常に新たな高みを目指し続けるものです。私の役割は、従業員に具体的な目標と道筋を示し、やる気を引き出すことだと信じています。そして、従業員一人ひとりが自分の業務に誇りを持ち、企業価値の向上という「上り坂」をともに歩んでいける環境をつくりたいと考えています。最終的には、従業員全員が「保土谷化学で働いてきてよかった」と思える会社を実現することが私の目標です。
そして株主様・投資家様、お客様・お取引先様、地域・社会の皆様、従業員はもちろんのこと、これから社会に出る学生の皆さんも重要なステークホルダーです。当社は、これら全ての皆様にとって「社会になくてはならない企業」であり続けるため、事業を通じて価値創造に努めてまいります。
保土谷化学グループは、これからの100年も、化学技術を通じて「環境調和型の生活文化の創造」に貢献していきます。私たちのVISIONである「環境に優しいモノづくりを通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という軸は決して揺らぐことはありません。そして、「化学で夢のお手伝い」をする企業として、これからも挑戦を続け、未来を切り拓いていきます。ステークホルダーの皆様には引き続き当社グループへの変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。